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「今、ここで、感じることを」という処方

一昔前、利用者の方に、

「今、ここで、感じること」で生活するといいですよ。

とよく伝えていた。

その後、マインドフルネスなる言葉がはやりだしたが似たようなことだと思った。

「今、ここで here and now」は昔からエンカウンターグループなどでもよく使われていた概念である。


今とは時間でいうと現在である。

過去の後悔や未来の不安を感じるとき、現在に留まるといい。

今の時点に後悔や不安は存在しない。

過去や未来に押し潰されることもない。

今を生きるというのは案外難しいのだが。


ここでとはあそこでなく、今いる場所である。

ここというのは空間でいうと1点しかない。

今、こことは時空で1点しかない自分が存在している地点である。

ここでないあそこにいると考えてはならない。

ここにいるのも案外難しい。


感じるというのは感覚器官に焦点化するということである。

逆に言えば、認知器官や記憶器官をなるべく避けるということである。

思考の迷路に迷わず、想像の霧に巻かれず、記憶の森に入って怯えることなく、

ただ、「今、ここにいる」感覚にフォーカスして生きる。

ビパサナ瞑想ほど本格的にしなくてもいいのだが。


たぶん、動物は「今、ここで、感じて」生きることしかできないだろう。

人間はそれだけでなく、時空を広げ展望して生きることができるから面白い。

でも、風呂敷を広げすぎて荷物が重くなったときは、

すべてを捨てて「今ここで感じる」ようにすると、ちょっと楽になる。

うまくすると、症状や問題から脱却した自分についてすら考えることがなくなっている。


そんなわけでたまには「今、ここで、感じる」ことをお勧めする次第である。





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