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まずは実態の把握

たとえば、パソコンのマウスが反応しないとき、マウス自体が壊れているのに、電池切れと早合点して電池を取り換えても、直らないことがあります。あるいは、意外にもパソコン本体の設定がおかしいのが原因というケースもあるかもしれません。


何かの問題に対処し始めるとき、やみくもな行動を起こさないことが大切です。急がなければならない特別な場合はもちろん別です。しかし、ふつうはまず、立ち向かおうとしている問題の性質や、原因の所在をよく観察して見極める必要があります。


たとえばカウンセリングでも、その「観察と見極め」はアセスメントなどと呼ばれ、とても重視されています。援助者は、聞き取りや観察だけでなく、ときには心理検査や知能検査を使って、問題を詳細に分析することもあります。(問題に焦点づけず、ポジティブな側面を伸ばしていくアプローチも使いますが、今回はその話ではありません)


不思議なもので、問題と感じていたものをつぶさに見てみると、意外に大したことがなく、ほっとする場合があります。恐怖が思い込みから生じているような場合です。さらには、問題と判断したものが全く問題ですらない場合などもあります。


逆の場合もあります。丁寧に調べると、思っていたより根深い問題であることが明らかになることもあります。問題を甘く見ていた場合や、目を背けていた場合などにそうなりがちです。難易度の高い問題の解決には、それ相応の時間がかかることもしばしばです。


把握したい問題の性質のなかでも、とくに大事な要素は「どの程度なのか」という視点です。専門用語で言うと病態水準の把握です。「不安」の場合を例にあげてみましょう。何かのスピーチの前の不安と、パニック発作の予期不安と、戦争によるPTSDのフラッシュバックとでは、かなり様相が異なります。また、1回限りで終わる不安と、長期間続く不安とでは当然、軽重に違いがあります。「盗聴されている不安」は、それが事実なのか事実でないのかによって、対応方法はまったく変わってきます。


要するに、軽重の判断、すなわち「程度の把握」によって、対応方法が変化する場合が多いのです。ここを間違うと、また一からやり直さなければならないことがあります。それは、時間の浪費です。


頭のなかに程度把握の「ものさし」を持って、問題に対処するようにしましょう。





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