前回の(1)ではひきこもりのケースについてお話ししました。今回は「悲しみ」のケースについて見てみましょう。
人生にはさまざまな喪失があり、中には思いがけず突然やってくる死別もあります。その喪失によって生じた悲しみは、遺された人々の心身や社会生活に多かれ少なかれ影響を及ぼします。悲しみから回復していく道筋には一定の経過があり、専門的には「悲嘆のプロセス」とか、「モーニングワーク」などと呼ばれています。
悲しみに暮れている人に向かって、周りの人はよかれと思って、つぎのような言葉をかけることがあります。
「早く忘れて、前向きに生きていきましょう」
「頑張って早く元気になってください」
「泣かないでください」
「つらいのはあなただけではない」
しかしこのように言われても、深い悲しみの中にいる人にとっては理解してもらえない気持ちがつのるだけかもしれません。
「本当につらいことですね」
「今までのように気力が出なくて当然です」
「その人のことを話してください」
「泣いていいのですよ」
もし聞き手がカウンセラーであれば、このような態度で話を聞くと思います。悲しんでいる人の気持ちを受け入れて、寄り添う態度で接してみましょう。
悲しみから立ち直ることは、愛する人を忘れることではありませんし、忘れる必要はありません。新しいことを始めるのは、愛する人を置き去りにしてしまうような気がして、前に進めない気持ちになることがあります。しかしそうではありません。愛する人はいつもあなたの心の中に一緒にいるのです。
(キジバト)
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