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マナー講師との違い

以前このブログで、カウンセラーと占い師の違いについて話題に上がったことがありました。最近ふと感じたのは、カウンセラーに対して、マナー講師のようなイメージを抱いている人もいるのではないかということです。「カウンセラー」と「マナー講師」はどう違うのでしょうか?今回はそれらの差異について考えてみました。


社会生活を営むうえでは、ある場面ではこういう行動をするのが正しいとされる一定のやり方(作法)があります。それは望ましい「言葉遣い」や「立ち居ふるまい」のことを指します。身近な例でいうと、ビジネスの場面でメールを送信するときなど、挨拶から用件に至るまで丁寧な書き言葉を使うことがふつうです。式典でのマナーや贈り物のマナーなどもあります。


カウンセリングでもマナーのことを話題としてまったく扱わないわけではありません。カウンセリングでは気持ちだけでなく行動について検討していくことも、ケースによってはもちろんあります。


ただそれは多くの場合、「道徳的にあなたはこうすべきだ」と相手を指導・矯正するためではありません。ましてやカウンセラーの独り善がりな考え方を押しつけるようなことはしません。あるマナーがどうしても守れない人に対しては、できれば一緒にその理由を考えていきます。


カウンセラーがマナー的なことを取り上げるのは、「こうするとトラブルを減らせるかもしれない」とか、「こうすると人間関係がもっと楽になるだろう」といった意図で話し合うためです。そこでは、「マナー」というより「ソーシャルスキル」という言葉が用いられることが多いのです。


つまりカウンセラーは、倫理的な正しさや行儀の美しさを第一に問題にしているのではなく、クライエントがスムーズに生きていけることを念頭に置いています。良質な(そして一般に受け入れられている)マナーは、コミュニケーションを円滑にしたり、社会生活での不快な思いを減少させたりする機能があります。


ただ厄介なのは、マナーとされるもののなかには合理的な根拠が薄いと感じられるものや、細かすぎて必要性の感じられないものなど、いろいろあるということです。たとえば最近ニュースでもネタになる「ブラック校則」など、イメージしやすいと思います。マナーに過剰にとらわれると、欲求や感情を抑制し、のびのびと行動できない原因になりえます。それを他人に強いると、管理主義に陥ります。その強迫的な「とらわれ」からの脱却をめざすカウンセリングもあるのです。


                             コブハクチョウの幼鳥

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