よく催眠において前世記憶や胎内記憶を扱ってもらえないかという問い合わせを受けます。
まず、前世記憶と呼ばれるものは科学的論拠はないものであり、それを前提とした催眠をおこなうことはできません。
日本催眠医学心理学会も「医学、歯学、心理学の諸分野における科学的研究」をおこなうものであり、医学や心理学において前世が定説とならない限り、会員は前世を扱うことは困難です。
ちなみに、「生まれ変わるとしたら何になりたいですか」という質問をアドラー心理学では用いることがよくあるのですが、これは来世という世界観に基づいているのではなく、現世で本当にやりたかったことは何かを間接的に問うものです。
胎内記憶については、実際に覚えているという人には多く巡り会ったし、可能性としては否定できないので扱うことはできるでしょう。
ただし、記憶全般に言えることですが、記憶は変化し脚色されていくものであるから、胎内の記憶が本当に正しいかどうかはわからないし、確認のしようがないものです。
だから、それはあくまで「カッコ」つきの「記憶」として扱わざるをえず、それをさも絶対的な事実であるかのように扱うことはできないことです。
胎内に戻ったとイメージして、深い安心感や大洋感情とやらに浸るようなワークはできなくもないでしょう。
アドラー心理学では小学校低学年前後に形成される信念や世界観の設定が、その後の人生に大きく影響していると考えており、その査定を「早期回想」と呼んで記憶を辿ってもらっています。
早期回想は過去の事実の生育調査ではなく、今現在にその人がどのような世界観(認知)をもっているかということを調べるものであり、最終的な焦点は現在と未来にあります。
過去の記憶に反映されている現在と未来の方向性を見ようとするものなのです。
ご期待に添えないかもしれませんが、もし過去を振り返るなら、そこら辺りでどうでしょうか。
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