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幸せの鳥は身近にいる?

「野鳥の種類をできるだけ多く言ってください」ともし急に言われたら、皆さんはいくつ答えられますか?スズメ、ハト、カラス…。もう少し知っている人であれば、ムクドリ、カルガモ、ツバメ、ウグイス、タカ…などと答えることができるかもしれません。あなたが10種類以上すぐに解答できる人であれば、その方面の知識が豊富な、あるいは野鳥に少なからず興味がある人の可能性が高いです。私も野鳥をあまり知らなかった時代は、野鳥の名前に関しては乏しい語彙しか持ち合わせていませんでした。

私は40代に入った頃からバードウォッチングが趣味の一つとなり、多くの野鳥を目にするようになりました。そうすると急速に野鳥の名前を覚えていくようになりました。始めてみてわかったことは、特に高山や森林のある地方に出かけなくても、自分の住んでいる身近な市街地にも、「なぜ今まで気がつかなかったんだろう?」と思うほど結構バラエティーに富んだ野鳥が生息しているということでした。写真は私が以前野田市の公園で撮影したシジュウカラの幼鳥です。幼鳥は運が良ければ今の時期に見ることができます。とても可愛らしく微笑ましいですね。たくましく生きようとしている姿に感動すら覚えます。

塩野七生氏はローマ人の物語』の中で共和政ローマ期の政治家・軍人・文筆家であるユリウス・カエサルの言葉を紹介しています。

「人間ならば誰にでも、現実の全てが見えるわけではない。多くの人たちは、見たいと欲する現実しか見ていない」

これは現代の認知心理学・社会心理学でいう「確証バイアス」に相当するでしょう。

野鳥に関心があまりない人や、「こんな所に野鳥などいるはずがない」と信じている人には、野鳥が目に入ってきません。でもおそらくは、どこかで出会っているに違いないのです。その鳴き声を耳にし、姿を見たりしてもほとんどの人はスルーしてしまうのです。多忙な人の頭の中は、現在取り組んでいる仕事のことで頭がいっぱいで、外の世界に意識を向ける余裕がないかもしれません。暗澹たる気持ちの人は、楽しげな野鳥の鳴き声より、重くのしかかる陰鬱な曇り空の方に注目するかもしれません。

この新型コロナの大変な時期に、野鳥どころではないという人も多いでしょう。私もこの自粛の時期にあえて安易に野鳥観察を勧めているわけではありません。でも一息ついた時によければ窓を開けて耳を澄ましてみてください。可愛い野鳥の声が聞こえてきませんか?幸せの鳥は案外身近にいるのかもしれません。


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