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素顔になる時間

特に対人的な業種ではそうだと思いますが、ビジネスではお客様の思考、感情というものが第一に重視されます。サービスを提供する側は、お客様のニーズを的確に把握して対応しなければ成功しないところがあります。主役であるお客様と向き合わずに、自分の個人的な欲求を優先して勝手に動いていても誰も見向きもしてくれません。きめ細かな対人配慮性が求められる世界です。


多くの人は、ビジネス以外に趣味などのガス抜きを持ち、仕事とプライベートのバランスをうまく取りながら生活しています。しかし、日本人にありがちな傾向ですが、仕事のウエイトが大きくなりすぎてそのバランスが崩れると、自分が置き去りになってしまうことがあります。自分が何を考えているのか、何を感じているのか自分でもよくわからなくなってしまうというわけです。


これは「自分が自分自身と切れてしまっている」状態のひとつです。そうなってしまうと、何かしらの症状や問題が起きてきてもおかしくはないのです。ユングの心理学では、社会的な顔のことをペルソナ(仮面)と言います。「自分で自分がわからない」状態というのは、ペルソナの下の素顔が自分でもわかりにくくなってしまう状態と言うこともできます。


カウンセリングの時間では、誰からも遮られずに好きなだけ「自分語り」をすることができます。会社や家庭で言えないことを言ってもいいですし、弱音を吐いてもかまいません。泣いてもいいですし、笑ってもいいです。沈黙しても、話しが飛んでもかまいません。忘れていた遠い過去の記憶を思い出すのもよいですし、未来の希望を語ってもよいのです。


それは息苦しくなっていた自分を解放し、深呼吸するような体験です。そうすることで「自分とのつながり」を取り戻すことができるわけです。


                               利根運河より撮影

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