「やってみよう」という一つのチャレンジのようなニュアンスで、何らかの行動の話題がカウンセリングで取り上げられます。支持的心理療法でもそうですし、認知行動療法や森田療法、ブリーフセラピーなどでもそうです。(ちなみに、行動化という言葉がありますが、これはまったく別の視点の話になりますので今回は扱いません)
なにか特別な大きな行動課題をしなければ、自分の問題が解決できないと考える人も多く、確かにそういう場合もあります。もし大きな課題を達成できたら、充実感や自信につながりそうですね。
しかし、課題が地味で小さく見えても、それに取り組むことが大切になる場合もあります。たとえば、ギターの練習で言えば、いきなりイベントで生演奏を披露しようと考えるのではなく、まず1日15分でもいいのでギターに触れてみようと計画するような感じです。
このような課題設定の仕方に関して、カウンセリングでご一緒に考えていく場合もあります。私の面接では、課題の種類や難易度、達成までの段取りなどが話題に上ることが多いです。やってみてどう感じたかについても、もちろん話題にしていきます。
課題が複数ある場合は、その優先順位について考えていくこともあります。また、取り組みやすい部分からやっていくという考え方もあり、来談された方が今までできたことをふまえて、どの課題からなら今後やっていけそうかを考えていくこともあります。
ふたたびギターの練習の例を挙げると、「練習曲を一つだけマスターすることを最初は目指す」とか、「今度バンドをやっている知り合いに、練習のコツを聞いてみる」のがいいだろうとか、あれこれ考えていくわけです。
いろいろ行動課題に取り組んでいくうちに、否応なく自分自身が見えてくるわけです。それは自分の興味や意欲であったり、向き不向きであったりします。また、計画の立て方や継続力について考えさせられることもあります。そして、行動課題が新たな他者とのつながりを招くことも多く、それもまた良い学びになることでしょう。
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