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言葉の向こうの真実

カウンセリングの場面では、たまに、単に思い出すという意味で「フラッシュバック」と言う人がいるかと思えば、プレッシャーを感じるレベルのことを「被害妄想」という言葉を使って表現する人もいます。


しかし、それらの言葉の本来の意味は、PTSDや統合失調症などとの関連性が高く、日常的にありふれた体験とは、かなりかけ離れた内容を持っているのです。


今の世の中は、メンタル関連の知識をインターネットなどで誰もが簡単に検索できるようになっています。そのため、専門用語あるいは専門的に聞こえる言葉を目にする機会はぐっと増えてきているようにも感じられます。


多くの人がメンタルヘルスに関心を持つようになり、その分野に関する言葉を知るようになったのは大変喜ばしいことでもあります。心の状態を表す語彙を増やすことは、大切なことだと思います。


しかし、それらの言葉を聞いていくと、必ずしも正確な使われ方をしているとは限らないようです。これはある程度やむを得ないことでもあるので、不正確な言葉の使い方をする人を非難する意図は毛頭ありません。


メンタル関連の用語というものは、想像以上に微妙で奥深い意味を持っていることが多いですし、一般の人々は訓練された心の専門家ではないので、正確に用語を使うことが難しいのは当然のことでもあるからです。


お聞きする専門家として気をつけなければならないのは、それらの言葉を鵜呑みにせずに、言葉が表している具体的な事実を丁寧に明らかにしていくことなのです。相談される方が実際にどんな体験をしているかがわかれば、カウンセラーとしては効果的な対応がしやすくなります。


そのためにはさまざまな質問をさせていただくこともありますし、時には心理検査などを用いて見立ての参考にすることもあります。カウンセラーが時間をかけてお話をお聞きする理由の一つには、こういう事情もあるのです。

( 葛西臨海公園のジョウビタキ )

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