新型コロナウイルスの脅威が続く中、2回目の緊急事態宣言が出されました。巣ごもりにより懸念される問題の一つに高齢者のフレイル(身体機能の低下)があります。フレイルにより認知機能の低下が引き起こされることがあります。
人間は歳を取ると誰しも多かれ少なかれ認知機能の衰えを感じ始めます。私も高齢者のご相談で経験がありますが、誰かの名前がすぐに思い出せなくなったりしてきたけれども、自分の「もの忘れ」が年齢相応の範囲内なのか、それとも認知症の初期症状なのかわからなくて心配になっている高齢者の方やそのご家族がたくさんいます。そのような方は行政の相談窓口や医療機関で医師の診察や認知機能検査(簡易検査から高度な機械を用いるものまでいろいろな種類があります)を受けてみるのも一つの方法です。
また、もの忘れは今のところひどくはないけれど、どうすれば認知機能を維持できるのかを知りたいという方も多いです。今回は一般的に、認知機能の衰えを防ぐために日常生活のレベルでできる基本的なことを簡単にまとめてみたいと思います。みなさんの中には高齢のご家族と同居されている方もいらっしゃると思います。よければ身近な高齢者の方に教えてあげてください。
まず記憶力を使うことももちろん役に立ちますが、それだけではありません。明るい気持ちになってよく笑うことや、仲間・家族との交流・協働作業も効き目があります(巣ごもりの状況下では制約はありますが)。「楽しむこと」や「社会的な関わり」がとても重要です。そこに「適度な運動」を加えることも役に立ちます。二人で散歩している人たちを街で見かけることがあります。これはとても健康的な習慣です。適度な気候であれば、陽に当たりながら散歩をすることで気分が前向きになることも多いです。外出が難しければ家事で身体を動かすことも良いことです。
「料理」は家事の中でも最も複雑なものです。計画立てて順序良く物事を行う実行機能という認知機能が必要になります。自分で買い物をしたり調理をしたりすることを日常的に繰り返すことは脳のトレーニングとしても非常に効果的です。「ビタミンD」と認知機能も重要な関係があると言われています。特に多く含まれているものは鮭と舞茸です。魚には「EPAやDHA」という脳の機能に大切な油も含まれています。「葉酸」と認知機能の関連も注目されています。レバーや納豆、ブロッコリー、ほうれんそう、100%オレンジジュースなどに含まれています。食事の内容に関しては、お米や麺より「おかずを重視した食事」が大切です。しかも「いろいろな種類を組み合わせて」食べることが大切です。1日3食の中で、できれば7~10種類の食品を食べるようにすると効果的です。
カウンセリングでもケースによっては、高齢者ご本人やそのご家族の方の、認知機能に関する不安・トラブル等の心理的問題への対処についてお話を進めていくことも可能です。ぜひご利用をご検討ください。
参考文献 『75歳からの運転免許認知機能検査がまるっとわかる本』 笠倉出版社
『よくわかる認知症の教科書』 長谷川和夫著 朝日新書
(写真はムクドリ)
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